ADULT CHILDREN
彼の部屋に入ると感じた事のない違和感に襲われた。


なんか変……


初めて男の人の家に来たから?


緊張しているから?


いつもと違う時間に彼と会ったから?



違う。



雰囲気でわかる。
今からやるんだって。


確信した途端に胸がギュっと押し潰されそうになった。

怖さと不安と緊張で握った手を湿らせた。




―――嫌じゃない…

だけど……

怖い――――――――



広く、ベッドとテレビと小さなテーブルだけが置かれているシンプルな部屋。

テーブルの上には煙草の吸い殻が大量にのった灰皿があった。


「煙草吸うんだ…?」


知らなかった。

私の前では吸わなかったから。


「うん。喘息あるって言ってたから一緒にいる時は吸わないよ。」


たったそれだけの優しさが嬉しい。


「座ってて」


彼は私を置いて部屋を出ていった。


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