ADULT CHILDREN
物音ひとつしない彼の部屋で私の速まる鼓動だけが大きく音を起てていた。


息を大きく吐き、気持ちを落ち着かせた所で彼が戻ってきてまた背筋を伸ばす。


「はい」


「ありがとう」


「どういたしまして」


貰ったジュースを受け取ると彼は私の隣に座った。


私が緊張してる事に気付いていたであろう彼は
その緊張を解いてくれようといつもの様に色んな話をしてくれた。



昼間見る彼の顔は夜とはまた違って見える。


話してて、やっぱり私この人の事が好きだと思った。


この人となら、私は――――


キスをした数分後、気付いた時にはベッドの中にいた。




「…いい?」


震えながら頷いた私の額に彼はそっとキスをして首筋へと唇を移動させていく。


怖くて、痛くて
途中何度もやめたいとも思った。

だけど、終わってから裸で抱き合っている時間はこれまで生きてきた中で一番と言っていい程幸せだった。


この人は私を見てくれている。


私を必要としてくれる。



もう私は完全にひとりじゃないんだ。



彼の身体の温もりがそう感じさせた。



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