あまいの。


─昔、テレビで見たことがある。


バラエティー番組かなんかでさ、お互いが一本のぶっといゴムを口に挟んで反対方向に引っ張るんだよね。


そのゴムはすっげえ弾力があるヤツでさ。

そうそう、ゴムぱっちんっていう罰ゲーム。




─もしも、どちらかがはなしたら。





「極限まで伸ばされたゴムは物凄い勢いで相手の顔にバッチーン!一生忘れられないような衝撃と痛みを受けるわけ」

「…何が言いたいの?」



目の前の彼女は湯気がすっかり姿を消した温いコーヒーを啜りながら、呆れたようなため息をついた。


このコーヒーカップは付き合って3ヶ月のデートで買ったものだ。

お揃いの絵柄に、色違いの青とピンク。

恥ずかしげもなく幸せオーラを出してレジまで二人、持って行った気がする。



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