流れ橋
そして、「冗談だよ。」と笑いだした。

わたしもつられて笑ったが、少しだけ不安が残った。

本当に、田中くんと倉石さん、今夜二人が出会ったらどうなるんだろう。倉石さんは、田中くんと元に戻りたいみたいだったけど。

田中くんは、倉石さんのこと、どう思っているのだろうか。

まだ、好きなのかな。なんか、わたしは、自分がますます邪魔ものみたいに思えてきた。
さっきまで、ちょっぴり浮かれていた自分が情けなくなり、段々落ち込んだ気分になっていった。

しばらく、沈黙が続いたあと、朋子がぼそっと呟くように話だした。

「あのさ、今夜花火が終わったら先輩に告白しようかなと思ってるんだ。なかなか、先輩からしてくれないしさ。」そういって、照れ笑いをしている。

わたしは、そんなに驚きはしなかった。今夜、先輩が言わなければ朋子が告白するような気がしていたから。

それにしても、わたし以外の人間は、みんな青春している。
< 118 / 201 >

この作品をシェア

pagetop