君のために
そんなある日だった――
「恵ぃぃ!!!!
早くメシ作れよ!
風呂洗えよ!!
あと、俺の宿題やっとけ!」
と、兄の廉太郎は怒鳴った。
両親が、親戚の結婚式でいなかった。
「も―――――ッ
うるさいなぁ!!!!」
バリンッ―――――
頭の線がブチッとキレて、リビングの入口のガラスをグーで割っていた。
兄は唖然としていた。
あたしの拳は、赤く染まり、チクチクと痛んだ。
高3の兄の免許取り立ての車に乗り、急いで病院に行った。