トリックス☆スターズ

12.最高の玩具

あたし達は軍にあっけなく捕まり、そして処刑されようとしていた。

魔戦士組合に入って最初の仕事すらこなせないのか、あたしの人生はこれから始まるはずだったのにな。
クリーダはずっと黙ったままあたしを見つめてくれてる、ゴメンねあたしと組んだばかりにこんな目に合わせちゃって。

また涙が頬をつたって流れ落ちた時、クリーダが声を出さずに唇だけでこう言ったんだ。

「うれしい」

って。

兵士がルクトイに指示をしたら、目の前でずっと止まっていたルクトイが動き始めたよ。
そっか、ルクトイは魔法で動かされてるんじゃなくて、軍の人間のいう事を聞く様に出来てるんだね。

ルクトイが止まり姿勢を整えた、いよいよ最後の時が来たのだな。

それからあたしはクリーダの顔を見ていたんだ。ずっとずっと見ていたんだ。

ずっとずっと…?

あれから3分位は経ったんじゃなかろうか。
腹をくくったから時間が長く感じるんだ、ってもんじゃない時間が経過している様な。

「クス…」

あれ?クリーダが笑った!?
あたしはクリーダが見つめている方向へと目をやったよ。

そうしたらさ

目の前のルクトイの目が何度もピカピカ光ってるんだ。

『にゃんらー?(ナンダーッ!?)』

ルクトイは主砲を撃つときに大きな目が光ってたんだけど。
目をピカピカ光らせてるだけで全然何も起こらないぞ!?

「それじゃ…」

クリーダがそう言うと、あたし達を板に縛り付けていた紐が一斉にブチっと切れたんだ。
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