@名もなき冒険者
オークの魔導士一式を2人羽織の様にかぶって歩く。
試しに一匹でいるオークの側をモコモコしながら通ってみた。

視界に入ったはずなのに、そのオークは全く気にしていない。

群集意識だからだろうか?ある程度形が似てればイチイチ気にしない様だ。

リュート『ほらね?』

「…ありえない」

さっきのオークの後ろを少し離れてついていく。

かぶりもの魔導士オークは不恰好だった、4本足でモコモコと歩く。

オークは前傾姿勢で首の後ろがこぶみたいにこんもりとでっぱってる、わたし達のシルエットは確かに近かった。


途中オークの群れがあり、緊張して進んだけど、やはりオーク達は全く気にしなかった。

こんな仮装でオークの群れの中もスルーとは、オークの目は節穴なのか?

リュート『…?
オークの大群にかこまれて緊張しちゃった?大丈夫?』

「ん~ん…へいき」

リュート『そう?ならいいんだけど』

どうやら緊張が伝わってしまったらしい、原因はオークじゃないんだけどな。

ターゲットのオークは崖の前に立つと、辺りを警戒してるのかキョロキョロしている、わたし達との距離は大体40メートル程。

この距離だと気にならないのか、安心した様で屈んでごそごそ何かやっている。

オークが枯草や枝をどかすとオークがギリギリ通れる小さな洞穴が現われ、オークはその洞穴に入って行った。

不恰好のオークも後を追い洞穴に入った。


中は小さな入り口の割に奥は結構深く広かった。

左右の壁には青白い光を発する光り苔が生えている、これの花は淡い黄色の光を発してきれいだけど、今は咲いてない。

これはあのオークが植えたのか、自然なものなのかはわからない、でもそのおかげで何とか歩けた。
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