Dangerous city
「滅亡?」

大袈裟な言い回しに俺は驚く。

「ああ…K国内が不安定な状態なのは知っているだろう?政情不安、食糧難、財政危機、治安の悪化…最近では疫病も流行しつつあるって報道もある。で…これは公安が極秘で掴んだ情報なんだが…」

六道さんは俺を見た。

「K国内で流行している疫病…どうやら天然痘らしい」

「な…!」

天然痘という言葉を聞いて、即座に俺は一人の女の顔を思い浮かべた。

『大学病院占拠事件の時に持ち去った天然痘ウイルス…あれをどうした?』

『もう…使い果たした…』

事件の最中、八戸とそんなやり取りを交わした事を思い出す。

「まさか…八戸由岐が…?」

「恐らくな…」

六道さんが苦虫を噛み潰したような顔で頷いた。

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