世界で1番愛してる

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「あら?シズ?」

「ママ!」


涼太と会えなかった二週間の話をたくさんして、気づいたら19時を回った時間。

スライド式のドアから覗くママに私は嬉しくて口許が緩んだ。



「涼太に頼まれてさっき連絡したけど繋がらないから…涼太が電話したの?」

「は?母さんじゃねーの?」


目を丸くさせるってこんな表情なんだ、って思いながら二人を見て頭を振った。



「コンビニの前でシゲくんに会って…それで教えてくれたの。」

「あーなるほどな。」

「シゲね。頭黒くしたらあの子男前になったのよね。」


ママの言葉は多少ズレてる気がしなくもないけど、今に始まった事じゃないからとりあえず流してみた。



「今回はシゲに感謝だな。」

「今回も、でしょ?」


なんだかんだ涼太はシゲくんが大好きらしい。

涼太もシゲくんもお互いを認め合ってるからケンカも多いけど…、1時間もすれば元に戻るくらい仲良し。



「そんな事より……シズはもう帰りなさい。」

「……えー…」

「女の子が一人じゃ危ないから。送るから、ね?」


ママの言う通りだけど、せっかく会えた涼太と離れたくない。

そんな思いで涼太を見れば、涼太も微妙な顔で眉間に皺が寄っていた。



「………また明日、な?」

「…ん。明日学校終わったらすぐ来る!」


また明日。
そう言ってもらえれば少しは安心できる。

私はカバンを持って、ママに近寄るけど…やっぱり寂しい。



「洗濯だけ持ってくから。飲み物は自分で買いなさいね。」

「わかった、ありがとな母さん。」

「…また明日来るから。」


ママも寂しいのかな…?

寂しいよね。家に帰っても一人だもんね。



「シズ、また明日な!」

「うん…おやすみ、涼太。」

「おう。」


名残惜しくて、なかなか病室を出れない私。
また明日会えるのに。



何だろう……。





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