世界で1番愛してる
「母さん。
迷惑かけるけど…良いか?」
何が良いか、なんて言わなくてもわかる。
涼太は闘うんだ。
病気とも、自分とも、時間とも、運命とも。
「……っ余計な心配はいらないからあんたは治療する事だけ考えなさい!」
「わかった。ありがとう、母さん。」
頭を下げている涼太にママは泣いてた。
声も出さずにただ涙だけ流して、泣いてた。
ママはそれからは何も言わないで病室を出て行った。
私はママじゃない。
だからママの気持ちは少ししかわからない。
「シズ、悪いけど…母さん頼んで良いか?」
「……ん、わかった。」
「ごめんな…。」
ごめんの一言にきっと色んな意味が込められてる。
だから、何も言わない。
私は病室を出た。
でも、ママの後は追わなかった。
ママもきっと今は誰とも会いたくないと思うから。
神様、お願いです。
涼太を助けてなんて言わない。
だから……
――…一日でも長く涼太と一緒に居させてください…。