世界で1番愛してる

手を繋いで田舎なのか都会なのかわからない中途半端な街中を歩いた。



「あ、涼太だ!」

「おう、久しぶりだなー。」

「涼太ってば彼女できてから全然遊んでくれないし。」


街中を歩いていればこうやって同年代の子に声を掛けられるのは当たり前。
その度に手をギュッて握って目尻を下げて笑うの。

きっと私を安心させたいんだと思う。
些細な事ですぐ不安になっちゃう駄目な私を。



「彼女さん可愛いねー?」

「だろ?俺シズ大好きだから。」

「うわっ、ご馳走様。じゃあ邪魔したくないからまたね!」


私より少し年下の女の子は可愛く手を振る。
たったそれだけで不安になってしまう私はやっぱり駄目な女だ。



「シズ?シズちゃーん?」

「……っえ?」

「あいつ、学校のダチ。んで俺のダチの彼女なんだ。

だからなんも気にする事ない。」


ほら、さりげなく…本当にさりげなくこうやって安心させてくれるの。


茶髪にピアス、学生なのに学校に行かないで遊び回る。


一般的に涼太は"不良"って言われるのかもしれない。


けど、実際は見た目は派手だけど結構誠実だし…友達や大切な人はすごく大切にする。
母子家庭で大変な涼太ママを大事にしてるし朝バイトして迷惑かけないようにってお金も家にいれるような誠実で思いやりのある人なんだ。

ちょっと不器用なだけで、決して"不良"と言うわけではないのが本当の涼太。


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