世界で1番愛してる


最近建て替えられた駅前にあるカラオケの前にはたくさん人がいてみんな涼太の友達。

でも、私の知らない人。



「リョウ!おせーよ。」

「悪い!コイツ、シズ。俺の大切な彼女だから手だすなよ?」


涼太よりも少し背の高い赤い髪をした人。

涼太だって175はあるはずだからもしかして180くらいある?

なんて考えてたら赤い髪の人は私に笑いかけてきてくれた。



「どうも。繁則です!シゲで良いんで。ちなみに17才の彼女いない独り身です。」


見た目以上に礼儀正しいシゲくんに私はちょっとした驚きが混じった目を向けてしまったかもしれない。

赤い髪にストリート系ファッションのシゲくんは涼太以上に"不良"に見える。

けど笑った顔が年相応で可愛い。



「あ、静音です。年は涼太より一個上です。」

「じゃあ18才かぁ。ってか敬語いらんよ?俺も敬語使わないから」

「お前使わないからじゃなくて使えないから、だろ?」


笑い合う涼太とシゲくんは年相応で、可愛い。一つしか年は違わないのにどうしても可愛く感じてしまった。

一般的に"不良"なんて言われている人は別に自分でなりたいわけじゃないんだと思う。

ただ、家庭環境だったり周りの環境が複雑でそうなってしまっただけ。


変に頭が良い人よりもずっとずっと人間味があるのかなって涼太といて感じた。



「シズちゃんで良い?」

「うん!」

「今日は楽しみマショウ。」


涼太にからかわれたのは嫌だったのか無理矢理に敬語を使うシゲくんに私と涼太は笑った。

すごく楽しい今。


この瞬間も、きっと真っ暗な闇はヒタヒタと足音を立てて涼太や私に忍び寄っていたんだ…。



< 4 / 61 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop