世界で1番愛してる


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「……見事に草ばっかり。」

「…だな。」


やっぱり、と言うのかなんなのか。

夏は一面が黄色に染まる此処も、今は草ばっかり。

当たり前だけど9月も下旬になる今に向日葵なんて咲いてるわけもない。



「ま、良いんじゃね?草っぱらだってどこだってシズがいれば俺は満足。」

「涼太……ありがと。」


歯の浮くような台詞だって普通に言っちゃう涼太。

それでも、言った後に私がありがとうって言えば照れたみたいにそっぽを向く。


目の前に広がる草っぱら…と言うか草原は風に揺られて踊るみたいに動いている。



「気持ちいー!」

「だな!草っぱらだって馬鹿にできねぇだろ?」

「うん!」


嘘みたいに穏やか。

吹く風は優しい。草原独特の良い匂いも、全部が穏やかで優しい空間になる。


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