Holy×Kiss~闇の皇子より愛を込めて~【吸血鬼伝説】
 本当は、そんなのは、嫌だった。

 僕の事を見て欲しかった。

 今は無理でも、いつかは、僕のものになって欲しかった。

「凛花は、松嶋……先生の何を知っているの?
 あいつのどこがいいの?」

 そんなの、僕に答える義務は、凛花にない。

 僕は、だんだん嫌な奴になっていく。

 だけど、凛花は、きちんと答えた。

「この部屋が、松嶋先生の家だって事を知っているわ。
 松嶋先生の事は、4月に学校に来る前から知っているのよ。
 いつも、辛い時には、助けてくれたのよ。
 友達にいじめられた時も。

……両親が死んだ時も」

 凛花は泣いているように、微笑んだ。

「何も言わないけれど……慰めの言葉なんか、一度もかけてはくれないけれど。
本当にダメな時は、いつも、黙って隣に居てくれたのよ」

 この部屋に来たのは、はじめてではなく。

 僕が変身した姿を、凛花は、松嶋……残月とまちがえた。

「残月」と、真の名前すら呼ばせていたんじゃないか。

 残月は、凛花にすべてをさらしているのにも関わらず……口をつけてなかったのか。
 
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