Holy×Kiss~闇の皇子より愛を込めて~【吸血鬼伝説】
「じゃあ……!
 じゃあ!
 私をここから出して!
 残月のところまで、連れて行って!」

 必死に頼んでくる凛花に、僕は微笑んだ。

「嫌だ」

「なっ……?
 何でよ!」

 予想外だったらしい僕の言葉に、凛花が動揺する。

 僕は、嫌な奴だ。

「僕は、そんなに動けない」

「あっ……!
 肩……左肩……ね?」

 凛花は、血溜まりの中で倒れていた僕の映像をやっと思い出してくれたようだった。

 彼女の顔が、ますます、青ざめる。

「そう。だけど……凛花が望むなら。
 凛花のために、だったら連れて行ってあげる。
 残月のところへ」

「鈴木先生……!」

 凛花の顔がぱあっと、輝いた。

「嬉しい!
 嬉しいわ! ありがとう!」

 凛花……そんな風に、笑わないで。

 僕の心が潰れてしまうから。
 
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