Holy×Kiss~闇の皇子より愛を込めて~【吸血鬼伝説】
 それを判っていても。

 僕は、僕を牙王にやれない。

 僕は、凛花のために、生きるのだから。




「なにをほざくと……!」

 牙王は、言って高々と僕を吊るす。

 それを見計らって、僕は叫んだ。

「……エンキ!」




 グァニィィィィィィン!



 土山の化け物を両腕に抱えたエンキがこちらを見た。

「……つを……げろ!」

 僕の言葉は、かすれていたが、エンキには十分伝わったようだった。

 エンキは、素早くうなづくと、両腕に抱えた土山の化け物を二匹とも、牙王と僕に向かって投げつけた。

 その、狙いは過たず。

 もともと、成人した人間だった大きさのモノが、牙王に向かって飛んでゆく。

「………!」

 これには、さすがの牙王も一瞬ひるんだ。

 僕を掴む手を緩めると、飛んできた土山の化け物を薙ぎ払う。
 
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