Holy×Kiss~闇の皇子より愛を込めて~【吸血鬼伝説】
 しかし。





 ……そのとたん……!





 激しい痛みが、僕を貫いた。





 今まで体験した事の無いほどの。

 雷のような激痛に、僕は、声も出なかった。



「皇子?
 どうしたのですか!? 皇子!」



 異変を察知して叫ぶ残月の声が、遠い。

 ここ数日、僕を悩ませていた頭痛だった。

 その痛みが、今、何倍もの強さで僕を苛(さいな)みはじめたのだった。



「皇子!」



 痛みに耐えかね、倒れこんだ僕を抱きとめて、残月が必死に叫ぶ。

 その悲鳴にも似た声を聞きながら、僕の意識はなすすべも無く遠のいく。








 それが、始まりだった。







 千年前。







 吸血鬼のほとんど全てを、死に至らしめた病の発病だった。









 僕を死にいざなう病の、咆哮だったのだ。


































Holy-Kiss
~闇の皇子より愛を込めて~

<了>

H20.4.8.0:49


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