君を

4



『相良さん、大丈夫?何か手伝おうか』
永久の記憶喪失の事は普段の永久と余りに違う為、隠し通せない。
学校では透尚の周りに、永久がいないせいで男共が下心丸見えで近寄って来る。
『しっしっ、す~なおっ』
周りの男を蹴散らすと席に座っている透尚を抱きしめる。
『朝ご飯ありがとねっ、あの馬鹿も美味いって喜んでたよ』
あの馬鹿にびくりと可哀相なくらい反応する。
あの馬鹿には勿体なさすぎる。


『透尚、ご飯食べてる?』

一緒に永久と暮らしてるから永久に遠慮してなるべく会わないように早く登校したり、無理をしている筈。
体が心配だよ。

顔色も、余り良くない気がする。
肩はこんなに細かっただろうか?
自分が情けなくなる。
自分は何の為に此処に居るのか。
二人を守る為に来たのに。
小さく唇を引き結び、拳を握る。

『透尚、無理しちゃだめだよ』
せめてと口に出して伝えるが、その言葉がしっかりと届いたかは怪しい。
うんと頷かれるけど、その思い詰めた顔が心配。

『透尚、保健室で少し寝たら…』
『白石くん今日一緒に遊ぼうよぅっ』
突然騒がしくなる教室に掻き消される。
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