ごくふたり
ハローワークには通ったけど、なかなかいい仕事がないのも事実だった。
失業保険の傍ら、係のおっさんに相談するが、小難しいことばかりぬかして、いい話を振ってはくれない。

だんだんとハローワークから足が遠のき、就職を一旦保留して、とりあえずバイトをしようと思った。

バイトといっても、26歳を間近にした男としては、心許ない。
出来上がっている派閥みたいな中に入り込んでいく勇気もない。
だから求人雑誌でオープニングスタッフ募集の記事だけを読み干し、面接を受けた。

バイト面接だからとなめていたけど、意外に厳しい戦いで。
「なぜこの年齢で仙台に来たのですか?」
「自分の新たな可能性を引き出したいと思いまして…」
この質問には、いくらでも答えることができる。
ただリアルにしゃべればいいのだから。しかし…
「なぜ定職ではなく、バイトをするのですか?」
これはキツイ。どうしても答えにつまってしまう。
「いや…あのう…」
もう、しどろもどろだ。

それでもバイトはバイト。なんだかんだ受かってしまう。
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