青蝶夢 *Ⅱ*
ヨシノ・・・

ごめんね

貴方が一番辛いのに、私は
気づけなかった。

電車に揺られて、一人帰る
芳野は、空いている席に
座る事無く、ドアの傍に立つ。

ドアに映る、芳野の瞳から

涙が零れた・・・

『快適な生活
 ・・・いつでも捨ててやる』

『俺が、その子の父親に
 なってやる
 どんな事をしても
 お前と子供を守ってやる

 お前に、俺の愛をやる』

ごめんね、ヨシノ・・・

私は、しばらく入院が続いて
芳野に逢う事はできなかった。

真実に触れて、私達は
お互いに、涙する。

母の前で、私を大切にすると
頭を下げた貴方の姿を
私は、一生忘れられない。

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