黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅰ
どちらも動くことなく、ただ互いを見据えながら時間が経ってゆく。
俺はだいたい自分から向かっていくことはないから、向こうが動くのを待つ。
これから喧嘩が始まるっていうのに、なんでそんな笑顔でいられる…?
相変わらず笑顔の理人くんが今、何を考えているのかわかんない。
「ねえ、青龍のみんなってさ。
……昔すっごい荒れまくって、サツにお世話になったことまであるんだよね」
「………っ!」
突然口を開いた。
「殺人未遂だっけ?
くだらない理由で人を殺しかけた。
まあ、運よくその人たちは死ななかったけど」
「な、っんで……っ!!」
なんで、理人くんがそんなことを知ってる…っ!?
それは俺たちの中じゃ、タブーの話で。
外部には誰にも話したことは一切ない。
なのに、なんで…っ!
「殺人未遂までしたのに、なんで正統派チームに入ってんの?
しかもトップ、だなんて」
グサッと胸にナイフが刺さった気がした。
確かに…、そうだ。
理人くんの言うとおり。
もう少しで、人1人殺しかけてしまった俺たちがなんで、正統派のチームのトップをやっているのか。
そう思うのは誰だって当たり前。