黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅰ
理人くんに殴りかかる。
怒り狂った俺は最初から本気で殴りかかった。
暁たちも見ただけでわかったみたいだけど、止めることはなかった。
……暁たちも、怒っているのだろう。
だけど。
理人くんはすんなりと俺のパンチを避ける。
しかも余裕の表情で交わすんだ。
なのに……。
バキッ
…――――え?
「へえ、いいパンチしてんじゃん。
さっすが副総長」
だんだん当たらなくて苛々が募り、思いっきり奮った一発が当たった。
でも、俺にはわかった。
「………!
いま、わざと…っ」
わざと殴られたのだと。
俺が殴る寸前、ニヤリと笑ったのが見えたから。
俺が思いっきり殴ったのに。
平気で立って、平然とした顔でこっちをみて笑ってるのが信じられなかった。
でも、すぐに笑顔が消えて…―――――
「かかって来いよ、航太。
俺が許せないんだろ?
だったら…、早くかかってこいよ」
「まっ、ちゃ、ん…?」
理人くんとは思えない、無表情。
さっきまで一人称が〝僕〟だったのが〝俺〟に変わり、口調も思いっきり違った。
目が冷たく光り、力強い。
声色も、いつもより1オクターブ以上低くて。
これは本当に理人くんなのか?
と言いたいくらい。
そこにいる彼は、理人くんとは全くの別人に見える。