子供は大人に恋をする
僕を片手で抱っこしたまま浅田さんは反対の手で鞄を取って玄関に行きます。浅田さんが歩く度に揺れてなんだか楽しいです。スーツがしわくちゃにならないように握って肩の辺りに頭を押し付けたら浅田さんが笑ったのがわかりました。
一人でのお留守番はとっても寂しいです。でも浅田さんはお留守番がちゃんとできたら誉めてくれるし、たくさんぎゅうってしてくれるから頑張ります。まだお洗濯は出来ないけどお掃除をしたらいっぱい笑ってくれるから僕も嬉しくなります。


「……それじゃ、マコ?そろそろ行ってくるよ」
「あい、……早く帰ってきて下さい」


ホントは離れたくないのですが、我が儘を言って浅田さんを困らせてはいけないので僕は床に降りました。ちょっとだけ、ちょっとだけお願いを口にしたら浅田さんは笑いながらしゃがんでくれました。そして、


「もちろんだよ」


と言って僕に行ってきますのちゅうをくれました。
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