『クルマとタバコとカンコーヒーと…』【リアル物語ケータイ小説版】
第32話

 このナンパから昭太郎の病院ライフは一変した。

佐野が言っていたように色々な人が見えてきたし、喫煙所に集うことが仕事のようになっていた。

1人友達ができると2人・3人と増えてくる。

予定のない入院仲間達は忙しいという言い訳が通用しないので、延々と日々の些細なことをネタに盛り上がる。

上下関係は人間力できまり、年齢、学歴、職歴などは通用しない。会話力が関係性を創る小学生社会のようだった。

 その中でも抜きん出て会話力のある男が小野里だった。

小野里は28歳。甚平姿で病院を闊歩する腸閉塞患者。

入院患者とは思えないバイタリティーの持ち主で、ノートパソコンを持ち歩き、病院であっても諦めのない自由な生活を送っていた。

 もう1人の病院仲間、長沼は美容師で妻子持ちの27歳。

手に職は入院中でも通用する。

患者の髪を切って回る人気者。かなり難しい病気らしく、薬を死ぬほど飲んでいたので、時々記憶が飛んでいた。

 昭太郎を含めたこの4人はオアシス喫煙所にかなり頻繁に足を運び、日々色々なことを話し合うことになる。

そして、消灯時間の9時から12時はコアタイムとして喫煙所に集合することが日課になっていた。

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