『クルマとタバコとカンコーヒーと…』【リアル物語ケータイ小説版】
第57話

 静岡の国立病院は古くて大きい病院だった。

そこで働く医師達は見慣れない背景に立っているせいか威厳があるように見える。

新たな病室に迎えられた昭太郎は看護師に笑顔で挨拶をした。

医大で勉強した【親近感作戦】は既に開始されているようだ。


 昭太郎に組まれた検査スケジュールは早速に開始された。

神経検査にはトラウマがあったが、逃げる場所はなかった。

感覚神経検査では皮膚に直接針を刺し電流を流す、そんな痛い検査に耐える日々が続いた。


 そんな苦痛の検査日程が終了した翌日、母親が呼ばれた。

だだっ広いカウンセリングルームで教授と助教授による説明を親子で受けていた。

基本的な説明は助教授が話し、教授は相づちをうっている。

「大林さんのアミロイド沈着は進行しています。よく起きる吐き気は消化器官に通じる神経障害によるもので、検査結果によると発病後約5年が経過していると思われます。今後約1年を過ぎると日常生活が自立できなくなる可能性があります。わかりやすく言うと約1年後には歩行が困難になり、その後、手の感覚神経などにも影響がで始めると思われます。またアミロイド沈着が進行すると心臓や眼球そして様々な内臓器官に影響を及ぼしてくる可能性があり、そのままでは5年後には死に至る可能性もあるということです」

 助教授は黒のマジックでホワイトボードに書きはじめた。

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