紙吹雪




その恐ろしさ故に噂が噂を呼び、妖刀と呼ばれるようになったのだという。



実際には惣次郎も馨がその刀を抜いたところは見たことがないらしく妖刀としての噂が真実か否かはわからないが、その刀が立花家の伝家の宝刀であり馨が探しているものであるということは間違いないらしい。



その話から考えれば馨の探している刀が【妖刀・村正】に縁するものだという庄左衛門の話は真実味を増してくる。


少なくとも似通った存在だということに違いない。



そしてその刀は今、村の外れにある小さな小物屋にあるというのだ。




「…三日後に、馨は必ずそこで刀を取り返すつもりでいます」




惣次郎は歳三を曇りのない瞳で真っすぐに見つめそう告げた。




< 240 / 320 >

この作品をシェア

pagetop