隣人の狂気
担架の上にはビニール袋が載っていた。

それはチャックが付いて大人がスッポリ入る大きさであり、既にチャックは閉じられていた。

同じ物がもう一つ出てきた。

二つのビニール袋は救急車へ乗せられ、すぐに救急車はどこかへ走り去った。

同僚達を含む周りの人々は、今見た物が恐らく死体袋である事に興奮して口々にしゃべり出した。

反対に俺は愕然として言葉が出ず、ただ呆然と救急車が去った方向を見ていた。

みんなを振り返る。

俺達が酒を呑みながらバカ話で盛り上がっていたスグそばで殺人事件が起きた。

その事を話すみんなは興奮していて、自分達が嬉しげである事に気づいてない。

少なくとも人が二人も死んだのに。
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