隣人の狂気
彼女は手荷物でも確認していたのか少したってから車から降りてきた。

そして何気なく辺りを見回しながら歩道へ向かう。

見回した時、俺も視界に入っただろうが気付いた様子もなく俺のいる場所とは反対方向に歩き始めた。

彼女の背中を眺めながら俺も続いた。

今は遠目だったのでよくは見えなかったが、以前アパートの駐車場で見た時の印象は『ハタチ前後の可愛いらしい女の子』だった。

かわいそうに。

狂人に目をつけられたばっかりに儚くも人生に幕を閉じる事になるのか。

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