愛してるの言葉だけで。


「もう、笑いすぎだから!」


「あはははは!」



本当に笑いすぎだから。

私は怒ったふりをして部屋から出た。


後ろからは幸信がついて来てる。



「来ないでよ」


「悪かったって」



ふふっ、焦ってる焦ってる。


私は焦っている幸信を見て心の中で笑っていた。



「ちょ、夏希!」


「もう、ついて来ないでよ!トイレも行かせてくれないの?」



私、役者になれるかも?

本気で怒ってるように見せかけて…


こんなことしてる私は悪い女?



「夏希、ごめん……」



幸信の弱々しい声に、相当落ち込んでいるのがわかる。


もう、苛めすぎた?


そう思って振り向いた瞬間に私は固まった。


幸信があまりに悲しそうな顔をしていたから……
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