愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~
「はぁ……」
何度目のため息をついたのか……そんなときだった。
「セリ~!!」
ハイトーンボイスが背後から飛んできて、振り返る。
ふわふわしたクセのある金色の髪。
濃い緑色の大きな瞳。
筋の通った鼻。
雪のように白い肌。
人懐っこい笑顔を浮かべ、大きく手を振って走り寄ってくるその相手に、私も満面の笑顔を湛えて手を振りかえしていた。
頬を真っ赤にして全力疾走する彼が地を蹴ろうとした瞬間だった。
「あっ!!」
私のところへ駆け寄ってきていたはずの彼の身体は一瞬宙に浮いたかと思うと、べしゃっと。
まるでヒキガエルのようにその場に顔面から崩れてしまった。
原因は言うまでもなく、私の背後に佇むお方の長~い足で……飛び込む瞬間、彼の足元に差し出された香椎君の足に毛躓いた彼は、顔面を強打する形でその場に転んでしまったという。