愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~
「不用意にセリに近づくなよ。ガキでもオレは容赦しないよ?」
「って、二人ともそこまで」
見ていられない醜態に私は仕方なく割って入る。
香椎君がしぶしぶマシューの顔から手を離す。
見れば頬は真っ赤になって掌の跡がびったりついてしまっている。
それに加え、転んだのが原因らしい擦り傷が顔のあちこちにある。
「マシュー、医務室でほっぺ、冷やしてもらおうか? あと、擦り傷の手当てもね」
前かがみになって彼に提案すると、彼はほわんとする笑顔を浮かべ大きく頷いた。
「セリは優しいなぁ。オレ、セリ大好きだ」
「私もマシュー大好きだよ。さ、行こう?」
そう言って手を差し出すと、マシューは目をキラキラさせてその手を取った。
ちらりと香椎君を見れば……不満そうにひきつった笑みを浮かべている。
「じゃ、私、マシュー医務室連れて行くから」
「それなら私が連れて行きますよ。お嬢様は授業に出なければ」
ニコニコニコニコ。
その笑顔がまぢで嘘くさいんだよ、香椎くん。
絶対にこの人に任せたら医務室連れて行かないよね?