愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~
「あの……すみません。
これ、よかったらどうぞ」
差し出されたのは小さな赤いお弁当箱だった。
ハッとして前を向く。
見たことのない顔。
同じ制服を着ているから、生徒であることは間違いない。
けれど……なんとかわいらしい子なのだろう。
私とは違う低身長。
ふわっふわの波だった長い髪は栗毛色。
目はくっきりはっきり大きな二重で、愛らしい。
口も口紅を塗ったかのようにピンク色。
おとぎ話から出て来たのか?
そう感じずにはいられないほど可愛らしい彼女は、私にニッコリとほほ笑みかけた。
「お弁当は気になさらず。
私の不注意ですから」
おほほ。
得意のよそ行きスマイルを見せると、彼女は小さく首を振った。
「私が不用意にセリ様にお声をかけたせいですから」
「すぐに供の者に新しいものを用意させますから、大丈夫ですよ」
そうだ。
あの男のせいなんだから、あの男に用意させればいいのよ。
だって執事君だもん。
「あの……大丈夫です。
私、お菓子とかパンとかいっぱい持ってますから」
そう言うと、目の前の彼女は私が座っていたベンチに赤い弁当箱を置くと、足元に置いていたらしいバックを私に差し出した。