聖霊の宴
「はぁ、な、何よこれ?」
全身が痙攣(けいれん)を起こし、立つこともできなくなったサーシャが地面に突っ伏す。
「だから言ったじゃん。変な気起こすと苦しむことになるよって……」
「……はぁ。……は。」
呼吸もできないのだろう、もがくように首を抑えるサーシャ。
「いつまで寝てるのさシーラ。起きて。」
フリップの声に反応する様にシーラがその身を起こす。
そこに現われたのはヒトの三倍はあろう巨大な白蛇だった。
「ダメだよお姉さん『バジリスク』の体液は猛毒なんだから、無闇に傷つけたら。」
フシュー。と高い息を吐くシーラの傷ついた眉間をフリップが撫でると、傷が消えた。
「しかもシーラは"蘇生"を司る白蛇の血も流れてるから、死なない。心強いパートナーでしょ?♪……って、なんだ死んじゃったか。」
つまらなそうに言い捨ててフリップは王都目指して歩きだした。
残されたサーシャの亡骸はバジリスクの毒で急速に腐敗し、誰に見られることもなく地中に消えていった。