聖霊の宴
時を同じくして炭黄のとある協会にある者が逃げ込んでいた。
その男は懐から取り出した小さなカプセルを飲み込んだ。
「……はぁ。ちくしょう。なんだってんだあのジジイ。」
激しい禁断症状から解放された男が、協会に備え付けられていた棚から何かを取り出した。
男の名はアンドレ・ドラッグ。
麻薬の栽培、服用、売買の常習犯であり、先日王都にある刑務所から脱獄した身であった。
アンドレは架けられた十字架の前に行くが、どうも祈る様子はなさそうだ。
「何が神だ、メシアだ。そんなんがいるんだったら、この可哀そうなオレ様を救ってみろってんだ。」
ふてくされ、唾を床に吐いた。
「迷える子羊よ。そなたの願い叶えてやろう。」