【短編】クリス王子とセシル姫
クリスの目論見通り、2人は同じ部屋に通してもらえた。
式典は明日の予定である。
けれども今夜は晩餐会を開いてくれるとのことで、それまでに着替えを済ませることになった。

セシルは「自分でできるから」と言って侍女をさがらせると、すぐさまうつ伏せに寝台に倒れこんだ。

「疲れたぁ~~!」

クリスは目を丸くしてセシルの側に行った。
そして自分も寝台に座り、セシルを見下ろす。

「大丈夫?」

「ダメ、、、気持ち悪い。
クリス、ちょっと背中の留具外して」

弱々しくセシルが訴えた。

先ほどアーサーの前ではしっかりしていたのに。

我慢していたんだなと思うと、ちょっと笑みが漏れた。
自分の前でだけ気を抜いてくれるのは、素直に嬉しかった。

クリスは言われたとおり留具を外すと、ついでに彼女の体をしめつけているコルセットの
紐も解いた。

体が圧迫から解放され、セシルはふぅっと吐息を漏らした。
うつ伏せのまま、目を閉じている。
本当に疲れているようだった。


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