【短編】クリス王子とセシル姫
クリスの瞳を覗き込みながら、セシルはにっこり微笑んだ。


「―――抱いて」


甘く囁く声に、クリスは目を見張った。

「でも、、、」

「大丈夫。
乱暴にしなければ、してもいいって」

「、、、聞いてきたの?」

「うん」

胸が熱くなる。

もしかして自分と仲直りするために、急遽医師の診察を受けたのだろうか。
そう思ったら、嬉しかったけど、やっぱりなんだか申し訳なかった。

「いいよ。我慢するよ。
そういうことなら、俺、ちゃんと我慢できるから」

首を振ったクリスに、セシルはふっと微笑んだ。


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