《それが罪だと言うのなら、私は喜んで罰を受けよう…。》
『う……。』
【やれやれ、気がつきましたか?】
慎が目を覚ますと、呆れたような口調とは裏腹に心配そうに自分の顔を覗き込んでいる阿修羅とシンが見えた。
『……阿修羅、殿。』
【せっかく貴方を殺しに来たというのに、貴方は別の者に殺されかけているなんて…興ざめですよ。】
『すみません、力ないばかりに…。』
慎はまだ少し痛む胸を押さえると、体を起こして頭を下げた。
阿修羅は不快そうに眉をしかめたが、怒ったりはしなかった。
それが、慎の覚悟なのだと理解したからだ。
しかし、まだ納得はしていないためについつい憎まれ口をたたいてしまう。
【俺はもう行きます。その子に噛み付かれそうですから。】
「あ、あのっ!」
【何です?】
「ありがとう、あしゅらさん…。」
【いえ。】
阿修羅はフッと笑うと、静かに部屋を出ていった。
彼らしく気を使ったのか、部屋の中は綺麗に整頓されているのが嬉しい所だ。