半熟cherry
「…お邪魔、シマス…」
ペコンと頭を下げたのは。
『な、な、な…なんで…ッ?!』
体を沈めたソファーから落ちそうになる。
なんで?
なんで?
なんで?
“なんで?”以外に言葉がなかった。
……だってそこには。
郁がいたんだから………。
『な、なんで郁ッ?!』
「あ?なんでって、俺が呼んだから」
『そんなのわかってる!!』
そうじゃない。
なんで郁がウチに来たの?!
「あ、俺も聞きたい。
ワケも言わずに着替えと宿題持って来いってなに?」
郁が肩に掛けていた大きなバッグを床に置いた。
……まさか、涼真のヤツ……。
涼真は床に正座をすると。
パンッとイイ音をたてて顔の前で手を合わせた。
「お願い郁チャン!!宿題手伝って!!」
涼真は予想を裏切らなかった。