この想いは・・・。


『坂野』


「ん?」


席に立ち上がり、あたしは人がいない端っこに立った。



『なんで会社辞めたんだよ?』



あたしは会社を辞めた。


「・・・ちょっとね」


『俺にも言えないの?』


「・・・うん」



谷口くん・・・・あなただから言えないの。



『もう帰ってこねーの?』


「うん」


『そっか・・・』


「・・・谷口くん。いろいろありがとね」



電話ごしで良かった。


泣いてることがバレちゃうから・・・。



『・・・坂野、5年間ありがとう』


谷口くんは優しい声で言った。


『入社式、俺けっこう緊張と不安でいっぱいでさ、坂野と話せてすっげー安心したんだ』



・・・覚えててくれたんだ。


『同じ部署になって、助け合って成長して、仕事が成功したら笑い合って、坂野と一緒に仕事できて楽しかった』



谷口くん・・・。


『なぁ、坂野』


「・・・ん?」


あたしの声は震えていた。



『◇◆ホテルがある方見てろよ』


「え・・・?」



あたしは◇◆ホテルがある方へ移動した。



なにがあるの?




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