俺様先生と秘密の授業【完全版】
「違う!!」

 今度は、はっきりと言った岸君を、吉住さんは、睨みつけた。

「どこが、違うって言うんだ!」

「同性も異性も無い!
 オレは、今まで愛莉さん以外誰も好きになったことは無いし!
 しかも、沈黙の狼の縁続きだなんて……!
 今日、初めて知ったんだ!!」

 岸君は、叫ぶように言った。

 ……うん。

 岸君は。

 あたしの狼と関係は、本当に、今日、初めて知ったんだ、と思う。

 それは、今までのつき合いと、今日の驚き方を見てれば、わかる。

 それに……あたしを初めて好きになった、って言ってくれたこと……

 ……出来れば、あたしも、信じたいな。

 今日のお昼休みに、あたしを好きって言ってくれたトキの真剣な顔。

 あれは、ウソなんかじゃない。

 それは、きっと。

 絶対。

 あたしのココロは決まったけれど。

 兄貴の方を見れば。

 あたしを、助けたって言う直斗の話と。

 岸君が見せた度胸で、和んでいた表情が、一気に不機嫌になっていた。

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