俺様先生と秘密の授業【完全版】
 毎日岸君を構っていじめるクラスメートも怖かったけど。

 それを追いかけて殴る、天竜組のヒトビトは、もっと怖かった。

 こんな所で、あたしが、狼の関係者だってバレたら。

 めちゃくちゃ危ない。

 それは、あたしだけでなく。

 もしかしたら、一緒にいた岸君だって……!

 何しろ。

 上着だけでも、あの騒ぎなんだもんっ!

 あたしは、岸君に手を引かれ、さっきの公園に向かって走ってた。

「き……岸君!
 こっち、駅とは反対なんだけどっ……!」

 岸君の足は、速い。

 ついて行くのがやっとだ。

 息を切らしながらの質問に、岸君は、言った。

「公園の駐輪場には、私の単車が置いてあるの!」

「なに、岸君、バイクなんて、乗れるの……っ?」

 驚いて聞いた、あたしに。

 岸君は、言った。

「うん。
 バイクに乗ったら、多分。
 誰も、私に追いつけないよ」

 そう、岸君が答えた時だった。

 クラスのいじめグループをやっつけていた、天竜組の一人が、あたしたちに気がついた。

「ああっ!
 岸の野郎が、女と逃げるぞ……!」
 
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