俺様先生と秘密の授業【完全版】
「「……!」」
二人のライダーは、あたしを挟んで、睨みあった。
どちらも、フルフェイスのメットをかぶっているので。
お互いに、相手が一瞬、誰か判らなかったみたいだ。
「早瀬倉先生?
ウチの学校の保健室にいる……?」
なんで、そんなのがこんな所に出てくるの!
……と。
続くかな? と思った岸君セリフは、違う言葉になった。
「沈黙の狼(サイレント・ウルフ)の『鳥』じゃないの!
実際に、単車に乗ってる時に出会えるなんて……!」
「……は?
お前、愛莉のクラスの岸か?
鳥、だなんて。
現役の狼だって知らないヤツがいるのに、よくもまあ、そんな古い名前を……!」
「だって、私!
あんたに……『鳥』と勝負したくて故郷(くに)から、出て来たんだからっ……!」
「「え?」」
岸君の言葉に。
思わず、あたしと先生の声が、重なった。
けれども。
今はゆっくり話している場合じゃなくて!
天竜組の方でも、バイクの準備を始めたヒトがいるし!
どんどんと、天竜組の人びとが集まって来る気配に。
早瀬倉先生が、舌打ちをした。