俺様先生と秘密の授業【完全版】
 バイクから降りて、思わず。

 あたしは、今来た方向に向かって、手を合わせた。

 直斗は、絶対謝らないだろうから、あたしが変わりに……




 ……ごめんなさいっ!





「……何、誰も居ない所に向かって頭を下げてるんだ。
 それよりこっちに、来いよ」

 波が、そばまで来ている、岩に座った直斗が。

 どこかに、携帯をかけ終わると。

 火のついてないタバコを口にくわえて。

 自分の隣を、ぽんぽん、と叩いた。

「……愛莉も、座れ。
 岸を振りきるのに、案外時間を喰ったから、後ろに乗ってても疲れたろう?」

 直斗の言葉に、うん、と素直に頷きかけ……あたし、気づいちゃった。

 そうよ、岸君!

「なんで、岸君まで置いてきちゃったの!?
 あの人も、クラスメートや、天竜組からあたしを守ってくれようとしてたのに!」
 
 あたしの、なじるような質問に、直斗は黙ってタバコに火をつけると。

 煙と一緒に、言葉を吐きだした。



「俺……愛莉と話がしたかったんだ」

 
 

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