俺様先生と秘密の授業【完全版】
「な……何よ!」

 そういえば。

 真顔で、タバコをふかしてる直斗の姿は、最近、あんまり見てない。

 見知ったいつもの直斗の様子だと。

 直斗が、こんな風にタバコを吸ってる時は。

 真面目な……誤解を受けやすい、微妙な話がしたくて困ってるときなんだ。

 昼休みに見た、伊井田さんとのキスの言い訳?

 思わず身構えたあたしに。

 直斗は、もう一度、煙をはいた。

「俊介が、すごく心配していたぞ?
 手のケガの消毒をしに、病院に行かないといけないのに。
 愛莉が勝手にどこかへ行った、って」

「……あ」

 そういえば、そうだった。

 その話をすっかり忘れていた上に。

 今までマナーモードにしてたケイタイだって取れる状況では、なく。

 恐る恐る引き出した、自分のケイタイの履歴に、兄貴からの着信回数を見てげっそりとなった。

「……もしかして、狼を使って、街中全捜索なんてことは……」

「それは、俺が止めた」

 兄貴……やる気だったんだ。


 ひ~~ん。


 

< 97 / 362 >

この作品をシェア

pagetop