職人の娘。
「ほまれ−、ご飯だよ」


子供部屋で絵を描く私を呼んだのは、いつもばあちゃん。


もしかしたら、記憶のある頃から私にご飯を作ってくれたり、お風呂に入れてくれたりしたのは、ばあちゃんだけだったかも知れない。


「お母さんは??」

「お仕事だよ」


決してお母さんが恋しかった訳じゃない。


むしろ帰ってくるのが憂鬱だった。


目茶苦茶怖い。


お母さんは、いつも怖かった。
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