職人の娘。
ばあちゃんは不服そうな顔で、お母さんと私の顔を代わる代わる見ていた。


家を放り出されるのも嫌だったし、それ以上にお母さんの逆鱗に触れるのも嫌だったから、私は素直に話した。


大事な友達に怪我をさせた奴を許せなかった事


私がぶっ飛ばしてやるって強く思った事


たった二つの理由だったけど、私は泣きながら話した。


お母さんは煙草を吸いながら、私の話を聞いていた。


「終わり…」


小さな声で呟くと、ばあちゃんはまた怒りだした。


もう頭の中が混乱しすぎて、ばあちゃんの言っている事なんて理解できてなかったと思う。


その時だった。


「うるせえよ」


お母さんが一言言って、立ち上がった。


「ツレの敵討っただけで、ほまれが責められる理由がない。そもそもな、女あ怪我させるような、女に泣かされるような男育ててる向こうにも原因あるんだ。

ほまれは初めて自分の意思で立ち向かったんだよ。あたしにはこいつの気持ちよく分かる」


お母さんはそう言って、私の頭をそっと撫でた。
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