職人の娘。
「これでこそ私の娘なんだよ」


涙で霞む視界の中で、お母さんが笑っていた。


今思えば、お母さんが私を褒めてくれたのはこの時が一番最初だった。


運動会で一番になっても、うんともすんとも言わなくて…って言うよりまず、運動会も見に来てくれてなかったし。


今なら分かる。


お母さんが私を褒めてくれるポイントが。


でも、あの頃は子供で分からなかった。


むしろ、お母さんは私の事が嫌いで、愛されてなんかいないと子供心に思っていたの。
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