愛すべき彼女が結婚するとき【超短編・完結】
本編
愛すべき彼女の結婚パーティーに7人の男が集結した。



5年間という期間であったが、彼女は俺らにかわいらしく微笑みかけ、俺らは彼女に紳士でいたいと思っていた。

そんな妹のような彼女が結婚をする。

肩書きのない新婦サイドの男友達という立場ではあったが、彼女からの誘いであるということで
俺ら7人は迷うことなく参加を表明した。


当日、彼女の誘いに応えるべく俺らはキメていた。

この日のために俺らは最高のエンターテイメントを用意し、時間ギリギリ、最終入場者としてアウェイの会場に入りこんだ。

会場では体育会系の新郎友人が騒ぎ、ドレスで着飾った新婦友人が合唱する。

俺らは端のソファーででタイミングをはかり、新郎の目の前に立ちはだかった。

俺らは「新婦はとびきりのいい女」だと宣戦布告し、
知られざる彼女の姿と俺らの気持ちを披露した。

このときの7人の心はシンクロし、威圧感すら与えていたが新婦に選ばれた男はひるむことなく真っ向から見据えていた。


俺らはその凛々しい姿の横で彼女が微笑むのを確認して、
「彼女を頼む!」と十字架を掲げた。

そして、すべてを受け止めた2人に背を向け走り去った。



彼女が事故を起こした時、子供のように泣いていたことが懐かしい・・・

純白のウエディングをまとった彼女は大人の女性になり人生の選択を決意した。

その岐路に居れることを嬉しく思い、祝福する。


そして、俺らがシンクロできたのは
愛すべき彼女だからこそだと確信し、感謝する。

・・・

しかしながら彼女の結婚を祝うためという十字架の裏に

「俺らとの思い出を忘れないでいてくれ」

というメッセージを書き込んだことは俺らの秘密だ・・・。




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