憂鬱な午後3時
………………


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ハッと…気がつくと、俺は自分の部屋のベッドの上だった…。


いつ、此処へ戻って来たのかも、記憶が曖昧だ。

《ガチャ…》
ドアが開け放たれると、母が顔を出す


「ノックすれよな…」
ぶっきらぼうに応える俺に、母は涙を流している。

「良かった…」

「何だよ?」

「誠…1週間も眠り続けたままだったのよ……本当に良かった」

泣きじゃくる母に、抱き締められたまま、俺は呆然としていた。

1週間も…眠っていたのか?
じゃあ、あれは…夢だったのだろうか?


《シャリン……》
俺の手元には、あの懐中時計が…。

「なんで…」

「あら…懐かしいわね、誠の亡くなったおじいさんの片見の懐中時計よ?今まで、無くしたものとばかりに…」


俺は、不思議そうに懐中時計を見つめると裏には、《瀬尾明》(せお、あきら)と名前が掘られている。


亡くなった爺さんは、おとぎ話が大好きだったそうだ…。


よく、母も昔は爺さんのオリジナルのおとぎ話を聞いていたと言うのだ。


「母さん…爺さんの写真持ってないか?」
俺が生まれる前に亡くなった爺さん。
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