千景くんは幼なじみ
「結愛ちゃん入る?」

「私っ?えぇっ!入らないよ…」

「結愛はいーから。千景くんを無理にでも勧誘すんのが瀬尾の役目だろー?」

「千景、音感ねーしな。とりあえず誘ったけど…。

あ、オレテニスも掛け持ちしてっから、そっち入るかもな。千景、あっちもこっちもってタイプじゃねーし」

そうなんだ。テニス…。テニスか軽音か陸上って言ってたもんね。

うちの高校って、強いのはバトミントンぐらいで、後は全部お気楽クラブだからなぁ。

どれ入ってもラクはラクなんだけど。


「…あのー。瀬尾くん、中学で野球部だったんだよね?」

瞬間、瀬尾くんの目が輝く。

「えっ?やっぱオレん事覚えててくれた?」

いや…そうじゃないんだけど。瀬尾くんと授業で何度か同じ班になったコトも未だに思い出せないし。

とりあえず首を振る。

「千景くんが慕ってる感じだったから…。野球部なのかなって」

「あぁ~、そーいうコト。野球部だったけど、何で?」

「高校では、何で入らなかったの?」

私が聞くと瀬尾くんは、フッと笑った。


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